不動産投資は「何年で元が取れるのか」が最初の関心事です。
実際の回収年数は物件タイプや自己資金比率、運営コストなど、複数の要素によって決まります。単純に「◯年で回収」と決めるのではなく、指標に基づく比較と現実的なシナリオ設計が必要です。
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今回は、不動産投資における回収期間の目安や計算方法など、わかりやすく解説します。投資回収のシミュレーションも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資の回収期間とは?
まずは、投資回収期間の基本的な考え方と、株式・債券投資との違いを確認していきましょう。
投資回収期間の基本的な考え方
投資回収期間とは、初期投資を物件の年間キャッシュフロー(手残り)で回収するまでかかる期間です。
最もシンプルな定義は下記となります。
回収期間 = 初期投資額 ÷ 年間キャッシュフロー
なお、実務では2つの観点を区別します。
1.総投資ベース
「物件価格+諸費用+初期修繕等」の総額を何年で回収するか。
2.自己資金ベース
「頭金・諸費用の現金投下分」を何年で回収するか。
レバレッジを使う不動産投資では後者が短く出やすい一方、金利上昇や修繕発生によりブレ幅が大きくなります。
単純な回収期間は時間価値(割引現在価値)を無視する欠点があるので注意が必要です。お金の価値は時間が経過とともに変わります。10年後の100万円は今の100万円とは同じ価値ではありません。
本格的に投資を考える人は「お金の時間的な価値」も計算に入れます。たとえば、毎年の利益を現在の価値に置き換えて積み上げる「割引回収期間」という考え方です。
初心者の場合は「回収期間の目安」を押さえれば十分ですが、慣れてきたらROIやIRRといった指標も組み合わせて使うと、より正確に投資を判断できます。
株式・債券投資との違い
不動産は流動性と取引コストの面で株式・債券と大きく異なります。売買には時間がかかり、仲介手数料・登記費用・税コストが大きくなるため、すぐに売却・回収する戦略は非現実的です。回収期間は着実な運用を前提に設計する必要があります。
株式・債券のような日次のマーケット価格が乏しいのも不動産投資の特徴です。
評価は鑑定・近傍成約事例・利回りからの逆算などに依存します。
価格変動が見えづらい一方で、金利・空室率・家賃トレンド・修繕発生の影響は重く、レバレッジを効かせると回収期間のブレ幅も拡大します。

不動産は一物一価ではない特性資産です。そのため、回収速度は運営の巧拙にも左右されます。
いずれにしても、不動産投資の回収期間は「継続的な手残り創出力」と「出口戦略」に強く依存します。株式・債券の感覚をそのまま当てはめず、物件運営と資本政策を含めた設計が重要です。
不動産投資の回収期間の目安

ワンルームマンションと、一棟アパートにおける不動産投資の回収期間を見ていきましょう。新築と中古の回収期間の違いもわかりやすく解説します。
なお、総投資(物件価格+諸費用)ベースの回収は長期化します。本記事では基本的に「自己資金回収」を目安とし、総投資回収は別軸で示します。
ワンルームマンションの平均回収期間
都市部の区分ワンルームは利回りが低め・運営がシンプルという特徴から、自己資金ベースの回収はおおむね10~15年が目安です。
典型条件の一例
価格1,500万円
表面利回り4.5~5.0%
空室損・運営費率25~30%
金利1~2%
この場合、税引後・返済後キャッシュフロー(手残り)は年間10~20万円に収まりやすくなります。自己資金200~300万円なら10~15年での回収が目安になるでしょう。
一棟アパートの平均回収期間
一棟は利回りは高めでもブレ幅が大きいため、自己資金回収の目安は15~20年がコアレンジです。
典型条件の一例
価格7,000万円
表面利回り7~9%
空室損・運営費率30~35%
金利2%前後
この場合、年間手残りは200~350万円に着地しやすく、自己資金1,000~1,500万円を15~20年で回収する設計が多くなります。
変動要因としては、大規模修繕(屋根・外壁・配管)、賃料下落リスク、金利上昇時の返済負担などが考えられるでしょう。
新築と中古の違い
新築物件は表面利回りは低めですが、初期修繕が少なく空室リスクも相対的に小さくなります。一方で価格に新築プレミアムが乗るため回収は長めに出やすいのが普通です。
中古物件は取得単価が下がり利回りは高めの傾向があります。減価償却の税効果を取り込みやすいのもメリットです。ただし、修繕・設備更新コストと入居付けの難易度が回収を左右します。
なお、中古は耐用年数や築年に応じて融資年数が短くなりがちです。月次キャッシュフローの変動が大きいケースもあるので注意したほうがいいでしょう。
自己資金回収の目安は下表のようになります。
| 新築ワンルーム | 12~18年 |
| 中古ワンルーム | 8~13年 |
| 新築一棟 | 18~25年 |
| 中古一棟 | 12~18年 |
エリアや利回り、金利、運営力などによっても回収期間は大きく変動します。
上振れ要因としては「高利回りの仕入れ+運営改善+税効果+好タイミングでの売却」、下振れは「空室長期化+想定外修繕+金利上昇」で発生しやすいです。
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不動産投資の回収期間を算出する指標

回収期間を算出する主な指標は、次のとおりです。
・ROI
・IRR
・CCR
・表面利回りと実質利回り
それぞれ詳しく解説します。
ROI
ROIとは投資利益率のことです。投下資本に対する利益を示します。
ROI = (最終的な利益) ÷ (総投資額)
例
1,000万円で中古ワンルームマンションを購入
5年間で毎年30万円の手残り → 合計150万円
5年後に売却益200万円
合計利益 = 150万円 + 200万円 = 350万円
ROI = 350万円 ÷ 1,000万円 = 35%
最終的に何%増えたのかを知りたいときに有効です。ただし、時間価値を無視する指標なので保有期間の長短は考慮できません。
IRR
IRRとは内部収益率と呼ばれ、投資で得られるキャッシュフローを「利回り」として年率換算した数値です。お金の時間的価値も考慮できます。
正味現在価値= Σ(各年CF ÷ (1+IRR)^t) − 初期投資 = 0 を満たす割引率がIRRです。
例
1,000万円で物件を購入
毎年30万円の手残りが10年間続く
10年後に売却益200万円
キャッシュフロー合計 = 30万円×10年 + 200万円 = 500万円
このキャッシュフローを現在の価値に割り引いたとき、初期投資1,000万円とちょうど釣り合う利回りが IRR ≒ 約4%になります。
ROIがトータルの成果を見せるのに対し、IRRは時間軸を入れて比較できるのが強みです。
CCR
CCRとは、自己資金配当率のことです。自己資金に対する1年間のリターンを示します。
CCR = 年間キャッシュフロー(手残り) ÷ 自己資金(頭金+諸費用−借入)
例
物件価格:2,000万円
自己資金:500万円(頭金+諸費用)
残り1,500万円は銀行ローン
年間キャッシュフロー(手残り):50万円
CCR = 50万円 ÷ 500万円 = 10%
この例の場合、「毎年10%ずつ自己資金を回収できる=約10年で元が取れる」というイメージになります。
表面利回りと実質利回り
表面利回り(グロス)とは、「年間想定賃料 ÷ 物件価格」で算出される指標です。仕入れ段階の粗い比較に使われます。管理費や空室リスクを考慮しないので「おおまかな目安」です。
表面利回り(グロス利回り)の例
物件価格:2,000万円
家賃収入(月):10万円 → 年間120万円
計算:120万円 ÷ 2,000万円 = 6%
一方、実質利回り(ネット)は、「(年間賃料 − 空室損 − 運営費 − 固定資産税等) ÷(物件価格+取得諸費用)」で算出される指標です。運用実態に近い収益力の把握に役立ちます。
実質利回り(ネット利回り)の例
物件価格:2,000万円
家賃収入(月):10万円 → 年間120万円
管理費・修繕積立:年間15万円
固定資産税など:年間10万円
空室による損失:年間5万円
家賃収入120万円 − 経費合計30万円 = 90万円(実際の収益)
90万円 ÷ (2,000万円+諸費用100万円) ≒ 4.3%
不動産投資における回収期間のシミュレーション

次の3ケースで回収期間のシミュレーションをしてみましょう。
・投資額500万円でワンルームを購入したケース
・投資額2,000万円で一棟アパートを購入したケース
・家賃下落や空室があった場合のシナリオ
それぞれ詳しく解説します。
投資額500万円でワンルームを購入したケース
条件は次のとおりです。
自己資金500万円
物件価格1,200万円
取得諸費用8%=96万円 → 総投資1,296万円
借り入れ796万円
金利1.2%・30年元利均等
想定表面利回り7.0%
空室・運営費率合計28%
計算イメージ
年間賃料:1,200万円 × 7.0% = 84.0万円
純収益(空室・運営費控除後):84.0 −(84.0×0.28)= 60.5万円
年間返済(元利):約31.8万円
年間手残り(税引前):60.5 − 31.8 = 28.7万円
税引後手残り(目安):25.0万円
指標
CCR(自己資金配当率)=25.0 ÷ 500 = 5.0% → 自己資金回収:約20年
総投資回収年数(粗目安)=1,296 ÷ 25.0 ≒ 約52年
このケースはレバレッジをやや抑えた安全設計で、回収20年前後という着地です。自己資金500万円という厚めのエクイティを入れるとCCRは安定しますが、回収年数は伸びやすくなります。
投資額2,000万円で一棟アパートを購入したケース
条件は次のとおりです。
自己資金2,000万円
物件価格8,000万円
取得諸費用8%=640万円 → 総投資8,640万円
借入:6,640万円
金利2.0%
30年元利均等
想定表面利回り8.0%、空室・運営費率合計33%
計算イメージ
年間賃料:8,000万円 × 8.0% = 640万円
純収益:640 −(640×0.33)= 428.8万円
年間返済(元利):約296.5万円
年間手残り(税引前):428.8 − 296.5 = 132.3万円
税引後手残り(目安):110.0万円
指標
CCR=110.0 ÷ 2,000 = 5.5% → 自己資金回収:約18年
総投資回収年数(粗目安)=8,640 ÷ 110.0 ≒ 約78年
一棟は利回りは高めでもブレ幅が大きくなります。修繕や空室の管理次第でCCRが±2~3pt動く可能性も否定できません。ただし、運営改善でCCRを6~7%台に引き上げられれば、自己資金回収15年前後も狙えます。
家賃下落や空室があった場合のシナリオ
共通の影響軸を下記として、投資対象別の回収期間を見ていきましょう。
家賃下落(▲5~10%)
空室率悪化(+5~10pt)
運営費率上昇(+2~3pt)
金利上昇(+0.5~1.0%pt)
〇ワンルーム投資
家賃▲5% & 空室・運営費+3pt
純収益 約60.5 → 54.0万円(▲6.5)
手残り(税引後)約25.0 → 19.0万円
CCR=3.8%/回収:約26年
家賃▲10% & 空室・運営費+5pt
純収益 約60.5 → 47.0万円(▲13.5)
手残り(税引後)約25.0 → 13.0万円
CCR=2.6%/回収:約38年
金利+1.0%pt(返済増)
返済 約31.8 → 約39.0万円(+7.2)
税引後手残り 約25.0 → 17.8万円(CCR=3.6%/回収:約28年)
〇一棟アパート投資
家賃▲5% & 空室・運営費+3pt
純収益 428.8 → 381.0万円(▲47.8)
税引後手残り 110.0 → 80~85万円(修繕前提次第)
CCR=4.0~4.3%/回収:23~25年
家賃▲10% & 空室・運営費+5pt
純収益 428.8 → 336.0万円(▲92.8)
税引後手残り 110.0 → 55~65万円
CCR=2.8~3.3%/回収:30~36年
金利+1.0%pt
年間返済 約296.5 → 約349.0万円(+52.5)
税引後手残り 110.0 → 55~65万円(CCR=2.8~3.3%)
不動産投資の回収期間を短くする方法

不動産投資の回収期間を短くする方法は、次の4つです。
・自己資金を抑えてレバレッジを効かせる
・運営コストを下げる
・物件価値を上げて売却益を狙う
・融資条件を工夫する
それぞれ詳しく解説します。
自己資金を抑えてレバレッジを効かせる
不動産投資では、自己資金(頭金)を少なくして銀行からの借入を多くすると、レバレッジが効いて投資効率が上がります。
たとえば、500万円の自己資金を入れて毎年50万円の利益が出れば「10年で元が取れる」計算です。もし自己資金を300万円に抑えられれば、同じ利益でも6年で回収できます。
ただし、借入が増えると返済負担も重くなり、空室や家賃下落のリスクに弱くなる点には注意が必要です。安全に返せる範囲でレバレッジを活用しましょう。
運営コストを下げる
家賃収入はすぐには増やせなくても、出ていくお金を抑えるだけで回収期間は短くなります。
管理会社の費用を見直す
修繕を計画的に行い急な高額出費を避ける
火災保険や固定資産税などの支出をチェックする
このような工夫で毎月の手残りを増やせます。年間の出費を10万円抑えられれば、それだけでもかなり回収が早まるでしょう。小さなコスト削減の積み重ねは無視できません。
物件価値を上げて売却益を狙う
投資回収は家賃収入だけではありません。物件を高く売却して利益を得る方法(キャピタルゲイン)もあります。たとえば、リフォームをすれば家賃が上がるだけではなく、物件の評価額も上がり、売却時に大きな利益が出る可能性もあります。
ただし、短期売却では税金が高くなる場合もあるため、購入時から出具戦略を考えておく必要はあるでしょう。
融資条件を工夫する
銀行からの借入条件次第で、回収スピードは大きく変わります。
金利が低い → 毎月の返済額が少なくなり、手残りが増える
返済期間が長い → 1回あたりの返済が小さくなり、キャッシュフローが安定する
金利が1%下がるだけでも、年間で数十万円の差が出ます。返済期間を延ばせば総支払利息は増えますが、短期の手残りを厚くして早く自己資金を回収するいう点では確実に有利です。

