不動産投資における南海トラフ地震のリスク対策

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不動産投資は長期的な資産形成の手段として多くの人に選ばれていますが、自然災害というリスクは無視できません。

日本では地震が頻繁に発生するため、不動産市場にも大きな影響を与えます。近い将来発生する可能性が高い「南海トラフ地震」は投資家にとって特に深刻な懸念材料です。

そこで今回は、南海トラフ地震のリスクを踏まえた不動産投資戦略について詳しく解説します。

南海トラフ地震とは

南海トラフ地震とは、日本の南海トラフ沿いで発生する可能性が高い巨大地震です。

この地域はフィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する場所で、過去にも大きな地震が発生しています。

1946年の「昭和南海地震」や、1707年の「宝永地震」は特に有名です。これらの地震は、広範囲にわたって津波や建物の被害をもたらしました。

南海トラフ地震はマグニチュードは9.0を超えるとされ、広範囲に津波を引き起こす恐れもあります。

南海トラフ地震が不動産市場に与える影響

南海トラフ地震が不動産市場に与える影響としては下記が考えられます。

・甚大な建物被害
・賃貸需要の変動

それぞれ詳しく解説します。

甚大な建物被害

南海トラフ地震による建物被害は、建物の構造や築年数、立地条件によって大きく異なってきます。

最新の耐震基準に適合した建物であっても、地盤の状態が悪い場所では深刻な被害が及ぶ可能性があるでしょう。

液状化現象が発生しやすい埋立地や沿岸部では、建物の傾きや沈下といった構造的な被害も予測されます。

津波による被害も甚大です。沿岸部の低層建築物では建物が水没するといった被害も想定されます。

賃貸需要の変動

被災地では建物の損壊により一時的に住居を失う人々が発生し、近隣の被害の少ない地域で賃貸需要が急増する可能性があります。

復興作業に従事する作業員の宿泊需要も発生するため、一時的に賃貸需要は大きく高まるでしょう。ただし、被災地から他地域への人口流出も発生し、長期的には賃貸需要が減少するリスクもあります。

沿岸部や地盤の弱い地域では、安全性を重視する入居者が内陸部や地盤の良い地域に移動するかもしれません。

賃貸需要の変動は地域の経済活動の回復状況や、行政による復興計画の進捗状況にも大きく影響されます。

南海トラフ地震後の不動産価格の動向予測

不動産価格の影響を正しく予測するのは困難ですが、過去の災害時のデータからある程度の見通しは立てられます。

通常、地震発生直後は物件の需要が減少し、価格が一時的に下落します。地震直後の価格下落を狙って物件を安く購入する方法もありますが、長期的なリスクを十分に考慮しなければいけません。

過去には、被災地での復興プロジェクトが進むことで不動産価格が上昇したケースも見られます。

公共インフラの整備や再開発が進む地域では再び人気が高まり、価格が上昇する可能性はあります。

たとえば、東日本大震災後の仙台市内では、中古マンションでも価格が上昇しています。

仙台市中古マンション坪単価推移
東京カンテイ 仙台市 震災前後のマンション市場動向

基本的には、災害リスクの高いエリアでも、復興と共に価格や土地取引は元に戻る傾向にあります。旧耐震、新耐震を問わず価格が上昇しているのは興味深いところです。

東日本大震災前後の岩手県、宮城県、福島県における売買による土地取引の件数も見てみましょう。

国土交通省「東日本大震災後の不動産を巡る状況」

岩手県は震災後にマイナス幅が拡大していますが、その後はプラスも増えています。宮城県も6月以降はプラスです。福島県は大幅なマイナスになりましたが、マイナス幅は縮小しています。

南海トラフ地震では短期的な不動産価格の下落が起きる可能性はありますが、長期的な市場回復を見越して投資判断をする必要はあるでしょう。

不動産投資家が南海トラフ地震のリスクを回避する方法

不動産投資家が南海トラフ地震のリスクを回避する方法は、下記の3つです。

・耐震性の高い物件選び
・地域分散投資
・地震保険の活用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

耐震性の高い物件選び

物件選びでは建築年と適用されている耐震基準を確認することが重要です。1981年6月以降に建てられた物件は新耐震基準に適合しており、地震に対する安全性が高くなっています。

価格が元に戻る・上昇するとしても新耐震と旧耐震では変動幅が違います。

建築年だけでなく、実際の耐震性能を示す耐震診断結果や耐震補強の実施状況も重要な判断材料です。建物の基礎構造や地盤の状況も重要な確認ポイントになります。

投資をする前には地盤調査報告書を入手し、液状化の可能性や地盤の支持力を確認すると適切な投資判断ができるでしょう。

特に初めての投資では、不動産の専門家や建築士に相談しながら耐震性能を多角的に評価することをおすすめします。

地域分散投資

地理的に離れた複数の地域に物件を分散させるほうが賢明です。

同じ地域に投資物件を集中させると、大規模災害が発生した際に全ての物件が同時に被災するリスクが高まります。

ただし、やみくもに物件を分散させるのは避けましょう。各地域の特性を理解しておくことが大切です。

地域ごとの地震リスク、地盤条件、津波被害の可能性などを調査します。

経済圏の異なる地域に投資すれば、ひとつの地域の経済が停滞した場合のリスクも軽減できます。

地域分散を考える際は、物件管理の効率性も考慮したほうがいいでしょう。管理会社のネットワークや、現地での対応能力も重要な検討要素となります。

地震保険の活用

地震保険は、地震によるリスクを経済的に補償する重要な手段です。

地震保険は火災保険に付帯する形で加入でき、地震、噴火、これらによる津波を原因とする損害を補償します。

保険料は建物の構造と所在地によって異なり、鉄筋コンクリート造の建物は木造建物と比べて保険料が安くなる傾向にあります。

耐震等級が高い建物では保険料の割引が適用されることもあります。

ただし、地震保険の保険金額は火災保険金額の30~50%となることや、修繕費用の全額をカバーできない可能性も理解しておかなければいけません。

地震保険と併せて家賃保証保険も活用すれば、包括的なリスク対策ができます。

保険を契約する際には、保険会社や保険代理店に相談して物件の特性と投資規模に応じたプランを検討しましょう。

まとめ

過去の震災で起きた不動産価格の推移や、リスクの分散を考慮すれば、南海トラフ地震に備えた不動産投資も可能です。地震保険も含めて備えられることは早めに取り組んでおきましょう。

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