アパート経営=安定した不労所得と考える人は少なくありません。しかし現実は、想定外のリスクが次々と押し寄せます。表面利回りだけを信じて始めた結果、赤字経営に陥るケースも少なくありません。アパート経営はやめたほうがいいと言われる理由もリスクの多さが主な要因です。
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今回は、アパート経営の理想と現実を冷静に分析しながら、成功と失敗の分岐点を明らかにします。アパート経営はするなと言われた人も、ぜひ参考にしてください。
アパート経営の理想と現実

表面上の利回りや営業資料の甘い試算だけを信じてアパート経営を始めると、現実とのギャップに直面します。初心者が見落としがちなリスク構造を詳しく見ていきましょう。
想像よりも手間がかかる
アパート経営という言葉からは次のような印象を抱きがちです。
・家賃収入が毎月自動的に入る
・一度建てれば放置でOK
しかし、実際には能動的な管理業務が不可欠です。
・入居者からのクレーム対応
・共用部の清掃や設備点検
・突発的な水漏れ補修
・騒音トラブル
上記のように、日常的な対応が求められます。
管理会社を入れても丸投げできるわけではありません。見積内容の妥当性や修繕の優先順位など、オーナー自身が意思決定を下す場面は少なくありません。
入居者の入れ替え時にはリフォーム費用や募集条件の調整も発生します。このような細かな業務を手間と感じるか事業運営と捉えるかによってもアパート経営の成否は大きく分かれます。
利回りシミュレーションが現実と乖離
手残り額と販売資料や投資シミュレーションは大きく異なります。その理由は、計算上の前提が現実と乖離しているためです。
・空室期間の想定が楽観的すぎる
年に1〜2ヶ月空室が発生するだけでも年間利回りは1〜2%下がります。
・修繕、維持費の見積り漏れ
屋根や外壁、給排水設備などは10〜15年単位で数十万円〜数百万円の支出が必要になります。さまざまな税負担も軽視されがちです。経費計上できるとはいえ、キャッシュアウトは変わりません。
・表面利回りを重視しすぎる
金利上昇局面では借入返済額が膨らみ、収支は圧迫されます。表面利回りは理想で、実質利回りこそ現実です。シミュレーションを過信せず、手残りベースでのキャッシュフローを見極める必要があります。
副業感覚で失敗
副業感覚でのアパート経営は、リスク管理の意識と情報収集の深度が浅くなりがちです。勤務の合間にネット上の情報だけで判断し、専門的視点を欠いたまま契約に進んでしまうケースも少なくありません。
管理会社に任せておけば大丈夫と考えていると、業者の提示条件を検討できず、割高な工事や過剰リフォームを受け入れてしまうリスクもあります。
アパート経営は事業です。自分の手を動かさずに回る仕組みではなく、事業家としての判断と管理があって初めて安定経営が実現します。
データで見るアパート経営の厳しさ

アパート経営の厳しさは感覚的な話ではなく、数字としても表れています。統計データと合わせて詳しく見ていきましょう。
全国平均空室率と賃料下落の実態
全国平均の入居率は約95%前後で推移しています。空室率はおおむね5%前後という計算です。しかし、この数字は管理会社を通じた稼働物件の平均値であるため、地域差は大きくなります。地方都市や築年数の古いアパートでは10〜20%以上の空室率も珍しくありません。
なお、賃貸住宅全体の空き家率は17〜18%です。家賃は年平均で約1%程度下落しており、築年数の経過とともに下落幅も拡大します。立地にもよりますが、20年経過すれば新築時より15〜25%ほど賃料が下がる計算です。
いずれにしても、家賃収入は安定的ではありません。築年数の経過とともに減少し、経営の余裕を削っていく構造になっていると考えたほうがいいでしょう。
ローン残債と資産価値の乖離
新築時にフルローンで購入した場合、20年後に建物価値が大幅に下がり、残債が売却価格を上回るケースが増えています。
金融機関は建物部分の耐用年数を基準に返済期間を設定しますが、木造アパートの場合は法定耐用年数が22年です。20年を経過した段階では建物の簿価はほぼゼロに近く、市場価値も建築費の2〜3割程度しか残らないことがあります。
ローンは元利均等返済のため当初10〜15年は元金の減りが遅く、残債が重く残る構造です。金利上昇局面ではキャッシュフローがさらに圧迫され、出口どころか運営継続自体が厳しくなるリスクもあります。
新築プレミアムの落とし穴
新築時の家賃は、築後数年で相場より1〜2割高く設定される傾向にあります。しかし、築10年を過ぎる頃にはこのプレミアムが消え、家賃は周辺中古物件と同水準に収束します。結果として、10年で10〜20%、20年で最大30%の家賃下落が発生するケースもあります。
下落幅はキャッシュフローに直結し、返済比率の上昇を招くので注意が必要です。たとえば、新築時に返済比率が60%だった場合、家賃が20%下落すると返済比率は実質75%に跳ね上がります。修繕費や管理費が増加すれば黒字経営の維持は困難です。
アパート経営のよくある失敗パターンと原因

アパート経営のよくある失敗は次のとおりです。
・立地選定の誤り
・節税目的で購入して長期赤字化
・サブリース契約の家賃トラブル
・キャッシュフローの破綻
・出口戦略がなくローンも残る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
立地選定の誤り
家賃収入を生むのは土地ではなく入居者です。入居需要がなければどれだけ安く買っても赤字になります。
・最寄り駅から徒歩15分以上
・大学や工場など一時的な需要に依存
・バス便必須エリア
上記のような立地は供給過剰や地域衰退の影響を受けやすく、空室が慢性化します。修繕費とローン返済だけが積み上がる恐れもあるので注意が必要です。
いずれにしても、立地選定は地価ではなく賃貸ニーズ密度で判断する必要があります。
節税目的で購入して長期赤字化
節税目的で始めるアパート経営は、長期的にキャッシュフローを悪化させるリスクがあります。建築費を高く見積もってて減価償却を増やして帳簿上の赤字を出すモデルは、節税期間が終わると支出だけが残るという構造です。
借入金が大きい場合、返済負担に見合うだけの実収益が生まれず、将来的に売却も困難になります。税の優遇は経営補助にすぎず、事業として成り立つかを最優先に判断すべきです。
サブリース契約の家賃トラブル
空室保証が売りのサブリース契約はリスク軽減策として広く知られていますが、契約内容を理解せずに締結すると逆効果になります。多くの契約では数年ごとに賃料見直し条項があり、実質的に家賃が大幅に減額されるケースがあるので注意が必要です。
契約解除時に違約金が発生することもあるため、保証思っていた仕組みが経営の自由度を奪う結果になりかねません。管理会社が倒産した場合は入居者との契約関係が不明瞭になり、オーナーが債務リスクを負うこともあります。
サブリースの契約前には必ず次の項目を確認しておきましょう。
・家賃改定条件
・解除条件
・原状回復の負担
それぞれ必ず文書で確認してください。
キャッシュフローの破綻
アパート経営における隠れコストが修繕費です。築10年を超えると大規模修繕が発生し、1棟あたり数百万円単位の支出が必要になります。
事前に積み立てていなかった場合は突発的な出費でキャッシュフローが崩壊し、追加融資に頼ることになります。修繕を後回しにすると見た目の劣化が進み空室率が上昇するため、収入が減る悪循環に陥ります。
実務的には、年間家賃収入の5〜10%を修繕費として確保するのが理想です。
出口戦略がなくローンも残る
アパート経営は購入時よりも出口の設計が重要です。築年数が進むほど建物価値は減少し、融資残高との乖離が拡大するため、売却時に残債を完済できないケースが発生します。
売却も建て替えもできなければ、経営をやめられない状態に陥る恐れもあるので注意が必要です。相続が発生すると負債を引き継ぐリスクも残るため、購入前に、出口から逆算した経営計画を立てましょう。
不動産投資のアパート経営を成功させる方法

不動産投資のアパート経営を成功させる方法は、次の3つです
・利回りだけで判断しない
・他人任せにしない
・短期売却を狙わない
それぞれ詳しく解説します。
利回りだけで判断しない
表面利回りが高い物件ほど、裏に大きなリスクが潜んでいます。たとえば、郊外の高利回り物件は空室期間が長く、入居者層も不安定になりがちです。
短期的な見かけの利益より、10年後も黒字を維持できる構造かどうかを重視する視点が、アパート経営の安定につながるのは間違いありません。利回りの数字に惑わされず、現場を歩いて需要を確かめる姿勢がアパート経営の強さにつながります。
想定利回りではなく、税引き後・維持費控除後の実質利回りを基準に判断することも大切です。多くの場合、表面10%の物件でも実質は5〜6%に落ち着きます。
他人任せにしない
管理会社に任せることは必要ですが、丸投げは危険です。優良な管理会社でも、オーナーの指針がなければ最適な運営はできません。最低でも月次報告書は必ず確認し、入居率・修繕履歴・問い合わせ件数などを自分で把握しましょう。
問題が起きてから動くのではなく、兆候を見て先に対処するのがアパート経営の姿勢です。管理会社は使うのではなくマネジメントすると考えましょう。
短期売却を狙わない
アパート経営は、株や仮想通貨のような短期売買には向いていません。売却益ではなく賃料収入の積み上げで利益を確保するのが原則です。
短期で売却を考えると、価値を維持するために無理なリフォームや家賃設定を行う必要があるため、逆に利回りを圧迫します。
長期保有を前提とすれば、修繕や再融資も計画的に行うことができキャッシュフローの安定的な維持が可能です。焦らず10年単位のスパンで考えることが、結果的に確実な利益につながります。
現実を踏まえたアパート経営の戦略的アプローチ

経験や勘に頼ったアパート経営では、長期的なキャッシュフローの安定は望めません。現実を踏まえるためには次のようなアプローチが不可欠です。
・エリア選定と需要分析
・数字にして可視化
・専門家とのネットワーク強化
・出口戦略の組み込み
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エリア選定と需要分析
最初の判断を誤ると、その後の努力ではなかなか取り返せません。特にエリア選定は、アパート経営の出発点であり最大のリスク要因です。地価や利回りよりも賃貸需要の安定性を最優先に考えるのが成功の秘訣です。
〇必ずチェックしたいポイント
・人口動態(減少率・年齢構成)
・雇用状況(近隣企業・学校・病院の有無)
・交通利便性(駅距離・主要道路へのアクセス)
・周辺の競合物件(家賃相場・入居者層)
チェックポイントは多面的に分析しましょう。このようなデータは国勢調査や不動産ポータルの公開情報でも入手可能です。エリアの将来性を見極めれば、利回りよりも重要な長期リスク管理にもつながります。
数字にして可視化
修繕費や清掃費、共用部電気代などの細かな出費を感覚で処理していると、気づかないうちにキャッシュフローが悪化します。収支表は月次で更新し、年単位で修繕積立を計画しています。
築年別に修繕予算を設定するのもひとつの方法でしょう。
例:築5年=家賃収入の3%、築10年=5%
修繕履歴をデータとして蓄積しておけば、将来の見積比較やリフォーム判断にも役立ちます。いずれにしても、経営を感覚ではなく数値で管理する姿勢が長期黒字経営の条件です。
専門家とのネットワーク強化
アパート経営は個人プレーでは成り立ちません。
・融資条件を最適化する金融機関
・節税や減価償却計画を支える税理士
・現場運営を担う管理会社
上記の三者を横断的に連携させ、情報を共有する仕組みを持てば、意思決定のスピードと精度が格段に高まります。
なお、融資更新時や大規模修繕のタイミングでは、三者の意見を事前にすり合わせておくと、資金繰りの混乱や税務リスクを未然に防げます。
出口戦略の組み込み
築20年を目処に再建築・売却・用途転換のいずれかを想定して、修繕計画や資金繰りを整えましょう。出口を描かない経営は、やがて行き詰まります。アパートは時間とともに価値が下がる資産であり、老朽化は避けられないコストです。
相続を見据えて法人化や持株分散を検討する必要もあります。重要なのは、出口戦略を購入前の計画段階から組み込むことです。経営の柔軟性とリスク耐性を向上させるためにも、出口戦略は立案しておきましょう。
アパート経営の前に知っておくべきチェックリスト

アパートの購入手続きを進めてからでは取り返せないリスクが多く、初期判断の精度がその後10年・20年の成果を左右します。失敗を防ぐために確認すべきポイントを、実務的な観点から整理しました。
購入前に確認すべき8項目
アパートを購入する前に、次の8項目を必ず確認しておきましょう。
1.立地:駅距離・生活利便性・人口動態・周辺の賃貸需要
2.構造:木造・鉄骨・RCの違いを理解
3.需要:ターゲット層(学生・社会人・単身・ファミリー)の入居傾向を分析
4.金融:金利タイプ(固定・変動)、返済期間、自己資金比率を比較検討
5.税務:減価償却・青色申告・法人化など、税効果を試算
6.修繕:外壁・屋根・設備などの修繕計画を年単位で想定
7.出口:将来の売却価格・残債推移・相続
8.家賃:周辺相場と乖離、将来的な家賃の下落リスク
この8項目が曖昧なまま契約に進むと、想定外の空室や資金ショートを招くリスクが高まります。
アパート経営をやめておくべき条件も知っておく
選ばない勇気も重要です。利回りが高く見えても、次のような条件の物件は避けたほうがいいでしょう。
・駅から徒歩15分以上で代替交通手段がない
・近隣に大学や企業などの単一需要に依存している
・サブリース契約を前提に利回りを提示している
・築古で大規模修繕が未実施
このような物件は購入後にリスクが顕在化しやすく、長期的に赤字転落する可能性があります。
専門家と管理会社を見抜く質問例をチェック
アパート経営では、信頼できる専門家の存在が成功を左右します。特に税理士・金融機関・管理会社を選ぶ際には、次のような質問をすると、担当者の実務レベルを見抜けます。
税理士への質問例
「不動産所得と法人化の損益分岐点はどのくらいですか?」
「修繕費と資本的支出の判断基準をどのように整理していますか?」
金融機関への質問例
「この金利タイプ(固定/変動)で10年後の返済総額はいくらになりますか?」
「繰り上げ返済を行った場合の返済期間短縮効果を具体的に試算してもらえますか?」
管理会社への質問例
「管理物件の入居率と平均入居期間を教えてください」
「空室対策の具体的な施策は?」
質問に対して曖昧な返答しかできない業者は、運用フェーズでもトラブルを招く可能性があります。アパート経営は専門家によっても結果が変わるため、質問への反応を品質指標とみなすことが重要です。
まとめ
アパート経営は簡単に儲かる副業」ではなく、数字で組み立てる事業」です。現実を理解し、長期戦略と冷静な判断で臨む姿勢が最終的に資産を残します。
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