不動産投資クラウドファンディングとは?仕組みやメリット・デメリットも詳しく解説

投資

新たな投資手法として注目を集めている「不動産投資クラウドファンディング」。インターネットを通じて多くの投資家から資金を集め、専門家が厳選した不動産案件に少額から分散投資できる仕組みです。

高額な初期投資や物件管理の手間がかからないので、不動産投資の初心者にも適しています。しかし、特有のデメリットもあるので事前の確認は欠かせません。

そこで今回は、不動産クラウドファンディングの特徴や、やめとけと言われる理由などをわかりやすく解説します。

不動産投資クラウドファンディングとは

不動産投資クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの投資家から資金を集め、不動産の運用・売却などに充てる仕組みです。

不動産クラウドファンディングの仕組み

物件の購入や運用、賃貸経営、売却などはクラウドファンディング業者が行ないます。

投資家は資金をクラウドファンディング業者に投資するだけです。

運用後は利益と出資割合に応じて配当を受け取ります。運用状況はスマホやパソコンから簡単に確認できるため、基本的には丸投げで不動産投資が完結します。

一般的な不動産投資との違い

一般的な不動産投資は、投資家自身が物件を購入し、所有者として登記されます。物件管理や入居者対応などの業務も所有者の負担です。

ローンを組む場合は個人の信用力も問われます。資金は数千万円から1億という高額になるのが一般的です。

一方、不動産投資クラウドファンディングでは、クラウドファンディング事業者が物件を取得・管理します。投資家は物件の管理・運用に関わりません。また、多くの投資家が共同出資するため、少額からの投資が実現します。

REITとの違い

不動産投資クラウドファンディングは、特定の物件や開発プロジェクトに投資するのが普通です。一方、REIT(不動産投資信託)は、さまざまな不動産に分散投資をして安定した収益を狙います。

REITの仕組み

なお、REITは株式のように取引所で売買されます。手軽に不動産市場へ参加でき、流動性も高いのは大きなメリットです。不動産投資クラウドファンディングは基本的に運用期間が固定されており、中途解約や売却による換金は困難です。

ただし、REITの価格は市場全体の動きに左右されるリスクがあります。

ソーシャルレンディングとの違い

ソーシャルレンディングは、多くの投資家から集めた資金を企業や個人に融資する「貸付型」のクラウドファンディングです。

「投資家→事業者→利益還元」という仕組みは似ていますが、用途や原資が異なります。

不動産クラウドファンディングソーシャルレンディング
資金の用途不動産の購入・運用企業や個人への融資(貸付)
収益原資賃料や売却益利息(貸したお金の利子)
リスク不動産の価値変動・空室リスク貸付先の返済不能リスク

不動産クラウドファンディングのメリットと特徴

不動産クラウドファンディングには、主に次のようなメリットがあります。

・少額でも投資できる
・手間がかからない
・投資家を保護する仕組みがある

それぞれ詳しく解説します。

少額でも投資できる

不動産クラウドファンディングは、多くのプラットフォームで最低投資額が1万円から10万円程度に設定されています。初心者でも安心して投資を始められ、経験を積みながら投資スタイルをできるのは多きはなメリットです。

従来型の不動産投資は、アパートやマンションを購入するために数千万円という大きな資金が必要になります。頭金や諸費用だけでも数百万円かかると考えていいでしょう。

少額投資のメリットは参入ハードルの低さだけではありません。資金が100万円でも、10万円ずつ異なる案件に投資すればリスクを分散させられます。

手間がかからない

不動産クラウドファンディングは、各種業務を運営会社が代行してくれます。投資家はプラットフォーム上で気に入った案件を見つけて出資するだけです。

煩わしい業務からは完全に解放され、定期的に配当を受け取るだけの投資スタイルを実現できます。

不動産投資の初心者にとって「手間のなさ」が大きなメリットになるでしょう。また、遠方の物件にも気軽に投資できるため、地方の高利回り物件にもアクセスしやすくなります。

投資家を保護する仕組みがある

不動産クラウドファンディングには、投資家のリスクとリターンを調整する「優先劣後方式」という仕組みがあります。簡単に述べると「損が出た場合に誰が先に損をかぶるか」を決めておくルールです。

出資者は「優先出資」と「劣後出資」の二つの立場に分かれます。一般の投資家は「優先出資」、クラウドファンディング事業者が「劣後出資」になるのが一般的です。

損失が出た場合は、まず劣後出資の部分から損失をカバーします。

優先出資者である一般投資家の元本や利益はある程度守られる構造です。物件が順調に運用されて利益が出た場合は、優先出資者と劣後出資者がルールに基づいて分配を受けます。

リスクがゼロになるわけではありませんが、一定の範囲まではクラウドファンディング事業者が損失を引き受けるために安心感は高まります。

不動産クラウドファンディングのデメリットと注意点

不動産クラウドファンディングのデメリットも確認しておきましょう。

・換金性が劣る
・競争率が高い
・元本は保証されない

それぞれ詳しく解説します。

換金性が劣る

不動産クラウドファンディングは投資期間が決められています。期間終了までは原則として資金を引き出せません。急に資金が必要になった場合でも、基本的に途中解約ができないので注意しましょう。

不動産クラウドファンディングは、あくまでも中長期的な視点で余裕資金を運用する方法として考える必要があります。

競争率が高い

不動産クラウドファンディングの人気が高まるにつれて、参加希望者も増えてきています。利回りの高い案件は募集開始から数分で満額に達することもも珍しくありません。

先着順の場合は募集開始直後から投資家同士のクリック合戦となり、申込みさえできないケースもあります。

元本は保証されない

不動産クラウドファンディングは、下記のような理由で元本割れが起こる可能性があります。

・賃料収益が想定よりも低い
当初の計画よりも賃料収入が少なくなるケースです。入居率の低下や賃貸相場の下落などが原因で起こります。

・売却益が発生しない
物件の売却益から分配金を得られるタイプのファンドで起こります。不動産市場の変動や自然災害による物件価値の下落などが要因です。

元本割れを防ぐためにも、劣後出資割合の確認と分散投資を忘れないようにしましょう。

不動産投資クラウドファンディングの始め方と流れ

不動産投資クラウドファンディングの始め方と流れは下記のようになります。

1.事業者に会員登録する
2.案件に応募する
3.運用開始
4.分配金の受け取り

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.事業者に会員登録する

会員登録は基本的にはオンラインで完結します。多くの事業者では、公式サイト上の「新規会員登録」や「口座開設」などのボタンから登録フォームにアクセスするだけです。

本人確認書類として、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどの提出を求められるので、事前に用意しておきましょう。

クラウドファンディング事業者によって案件の特徴は異なります。取扱案件の種類や最低投資額、過去の運用実績などは登録前に必ずチェックしましょう。

2.案件に応募する

会員専用ページにログインすると、現在募集中の案件や募集予定の案件一覧が表示されます。物件の概要や予想利回り、運用期間などの情報が記載されているので、内容を確認して出資の判断をしましょう。

応募の流れは事業者によって異なりますが、一般的には応募フォームに投資金額を入力して申し込みを行います。入金のタイミングも事業者によって変わるので申し込む前に確認しておきましょう。

不動産投資クラウドファンディングの募集方式

募集方式には「先着式」と「抽選式」があります。

・先着式
募集開始時刻から申し込みを受け付け、先に申し込みをした投資家から順番に出資枠が確保されます。原則として「早い者勝ち」です。人気の高い案件では募集開始からわずか数分、時には数十秒で満額に達することもあります。

・抽選式
一定の申し込み期間を設け、その期間内に申し込んだ投資家の中から抽選で当選者を選びます。申し込み順は当選の可否に影響しないため、いつ申し込んでも同じ確率で投資機会を得られます。

3.運用開始

案件への応募と契約手続きが完了すると案件の運用が開始されます。

運用はクラウドファンディング事業者が行なうため、投資家が関わる必要はありません。運用状況は会員ページやアプリなどから簡単に確認できます。

4.分配金の受け取り

運用の満了後、出資比率に応じて収益が分配されます。また、出資金も払い戻されます。

分配金の受け取り方法は投資家が指定した銀行口座への振り込みとなるのが一般的です。

不動産投資クラウドファンディング事業者の選び方

申し込みをする前に、不動産投資クラウドファンディング事業者の選び方をチェックしておきましょう。

・信頼性を調査する
・取り扱い物件数をチェックする
・劣後出資割合を比較する
・最低出資金額を確認する

それぞれ詳しく解説します。

信頼性を調査する

事業者の信頼性は投資の成否にも関わります。特に下記のようなポイントをチェックしてみましょう。

事業者の企業情報

創業年、資本金、従業員数などの基本情報は重要な判断材料です。不動産業界や金融業界での実績豊富な事業者は、専門性の高い事業運営が期待できます。公式サイトの「会社概要」や「経営理念」などのページは欠かさずチェックしておきましょう。

運用実績

過去の案件と運用結果も確認しましょう。実績がわからない事業者の利用は避けたほうが無難です。

情報開示の姿勢

リスク要因や手数料体系などを明示している事業者は、投資家に対して誠実な姿勢で臨んでいると考えられます。過度に楽観的な表現が目立つ事業者には注意が必要です。

第三者からの評価

口コミや評判、独立した評価機関によるランキングなどをチェックします。情報は偏りがあるので、必ず複数の情報源を比較検討しましょう。

取り扱い物件数

募集中の案件数や今後の募集予定数は、クラウドファンディング事業者の規模と投資機会の多さを示します。常に新しい案件を募集している事業者は継続的な投資が期待できるでしょう。募集案件が少ない事業者は資金を効率的に運用しづらくなる可能性があります。

劣後出資割合を比較する

投資家保護の観点からは劣後出資割合が高いほど望ましいです。案件の厳格な審査と適切な運用へのインセンティブも高まります。

同じ事業者でも案件によって劣後出資割合が異なるケースがあるので、複数の事業者を比較して総合的に判断しましょう。

最低出資金額を確認する

最低出資金額は、投資家の参入障壁と分散投資の可能性に直接影響します。初心者は1万円~5万円前後から出資できる事業者がおすすめです。少額投資から始めれば、不動産クラウドファンディングの流れを低リスクで実感できます。

追加投資可能な金額の単位も確認するとよいでしょう。たとえば、「1万円単位で出資額を決められる事業者」と「10万円単位でしか出資額を決められない事業者」とでは柔軟性に大きな違いがあります。

おすすめの不動産クラウドファンディング

SOLS(ソルス)

SOLS(ソルス)は、不動産投資を簡単に少額から始められる不動産クラウドファンディングです。20年以上も不動産の買取販売や大家として物件を管理してきた目利きで、さまざまなファンドを展開しています。

最大の特長はクラウドファンディングの種類です。

1.SOLS(匿名組合形式)
半年~1年等短期ファンド
2.SOLS α(任意組合形式)
現物不動産投資に近いファンド
3.SOLS WALLET(出し入れ自由形式)
運用手数料無料で、好きな時に投資ができ、好きな時に運用終了できるファンド

元本の安全性を高めた運営方法と、1口5万円からの少額投資は初心者にもおすすめです。

会社概要
社名株式会社不二興産
本社愛知県名古屋市西区南川町227番地
創業2000年8月

執筆者:山岡ひかる

証券会社に勤める知人の影響で株式投資を始める。投資歴は約13年。不動産投資にも詳しく、相場の動きと経済のつながりを読み解く記事には定評がある。初心者にも読みやすい投資系コンテンツを多数執筆。

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