「給料だけに頼らない収入源が欲しい」
「老後の生活資金を確保したい」
このような思いから不動産投資に関心を持ち始めたサラリーマンの方も多いと思います。
たしかに、不動産投資は安定した収入源になる可能性はあります。しかし、危険な罠が潜んでいるのも事実です。
投資経験の少ないサラリーマンは「カモ」として狙われやすく、甘い言葉で誘導されるケースも少なくありません。
そこで今回は、不動産投資を検討しているサラリーマンがカモにならないための方法を詳しく解説します。
不動産投資のメリットとデメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産投資でサラリーマンがカモにされる理由

不動産投資でサラリーマンがカモにされる主な理由は下記のとおりです。
・知識不足
・業者に丸投げする
・ローンの審査が通りやすい
・将来に不安を感じている
それぞれ詳しく解説します。
知識不足
不動産投資は専門性の高い分野です。物件の価値評価だけではなく、市場動向や法律など多岐にわたる知識が求められます。
本業が別にあるサラリーマンは、このような専門知識を身につける時間が限られがちです。その結果、物件の価値や将来性を正確に判断できず、過大に評価された物件を購入してしまうことがあります。
不動産業者の営業トークを鵜呑みにしてしまい、不利な条件で契約を結んでしまうケースも少なくありません。
不動産投資は高額な取引なので、知識不足は大きな損失につながります。
業者に丸投げする
時間に余裕がないサラリーマンは、不動産投資のプロセスを業者に丸投げしがちです。丸投げすれば投資に関する時間を削減できますが、業者が最適な選択をするとは限りません。
高い手数料が発生する物件や、販売ノルマのある物件を勧められることもあります。重要な意思決定を他人に委ねれば、投資者として成長する機会も失われるでしょう。
不動産投資は自分が主体となって取り組むべきものです。業者はあくまでサポート役と考えなければいけません。
ローンの審査が通りやすい
サラリーマンは安定した収入があるため、不動産ローンの審査が比較的通りやすい傾向があります。
これは有利に思えますが、カモにされやすい原因にもなっているのです。悪質な業者は審査が通りやすいことを見越して、高額物件や投資効率の悪い物件を勧めてきます。
ローンの返済は長期にわたるため、将来の収入減少や金利上昇などのリスクも考慮しなければいけません。業者の言うことは鵜呑みにするのは避けましょう。余裕のある返済計画の立案が何よりも重要です。
将来に不安を感じている
多くのサラリーマンは将来の経済的不安から不動産投資に関心を持ちます。年金制度への不安や老後資金の準備、副収入の確保など、将来への備えとして不動産投資を検討する人も少なくありません。
しかし、不安感が冷静な判断を鈍らせることがあります。
将来の不安は誰もが持つものですが、付け込まれないように注意が必要です。不動産投資は長期的な視点で行ないましょう。焦りは禁物です。
不動産投資でサラリーマンがカモにされるケース

不動産投資でサラリーマンがカモにされる主なケースを見てみましょう。
・高額なローンで購入させられる
・相場より安い家賃保証で契約させられる
・大規模修繕が不可欠な中古物件を購入させられる
それぞれ詳しく解説します。
高額なローンで購入させられる
不動産投資初心者のサラリーマンは、物件の適正価格や相場観がありません。そのため、実際の価値より高い価格で物件を購入させられるリスクがあります。
収支計画や投資リターンの計算方法にも不慣れです。長期的な返済計画の妥当性も判断できないことがあります。
「将来的な資産価値の上昇」や「税金対策になる」といった甘い言葉にも乗せられやすく、返済能力を超えた高額ローンを組んでしまいがちです。
相場より安い家賃保証で契約させられる
不動産投資では、管理会社が一定期間家賃を保証する「サブリース」というサービスがあります。しかし、悪質業者は高めの家賃保証を提示し、契約後に保証家賃を大幅に下げるので注意が必要です。
サラリーマン投資家は地域の適正家賃相場をほとんど知りません。そのため、表面利回りだけを見て判断してしまいます。契約書の細かい条項はわかりにくく、業者が一方的に家賃を下げられる特約にも気づけません。
場合によっては当初の計画より大幅に収益が減少し、ローンの返済に支障をきたします。
大規模修繕が不可欠な中古物件を購入させられる
築年数の経った中古物件は新築に比べて価格が安く、表面利回りが高く見えるので初心者に人気があります。しかし、修繕費用を見落として失敗するケースは少なくありません。
悪質業者は意図的に建物の劣化状況や問題点を隠します。そして、「リノベーション済み」や「築年数の割に状態が良い」などと説明して購入を促すのです。
予想外の大規模修繕から資金不足に陥ると、投資からの撤退を余儀なくされる恐れもあります。
中古物件を購入する際は表面上の利回りだけでなく、将来発生する修繕費用も含めたライフサイクルコストを考慮しなければいけません。
サラリーマンが不動産投資のカモにされてしまったら?

サラリーマンが不動産投資のカモにされてしまった場合は、下記のような対応をしましょう。
・冷静に現状を分析する
・専門家に相談する
・物件の収益性を改善する
・売却を検討する
それぞれ詳しく解説します。
冷静に現状を分析する
不動産投資でカモにされたと気づくとパニックになりがちですが、冷静に現状を分析しましょう。
・物件価格が相場より高かった
・家賃収入が過大に見積もられていた
・修繕費用が予想外に発生した
上記のような問題の具体的な把握が対策の基本です。
なお、現状分析をする際には感情的にならず、客観的な数字に基づいて判断しましょう。
精神的なケアも重要なプロセスです。多額の資金を投じた投資の挫折は、自己否定感や将来への不安など、さまざまな精神的問題を引き起こします。
失敗は学びの機会と考えましょう。次に活かせる貴重な経験と捉え直すことも必要です。
専門家に相談する
不動産投資でトラブルに遭ったときはひとりで抱え込まず、専門家に相談しましょう。
たとえば、不動産取引や消費者問題に詳しい弁護士に相談すれば、契約上の問題点に対して法的な解決策を提案してくれます。
業者側に違法行為や説明義務違反があった場合は、損害賠償請求や契約解除などの可能性も検討してくれるでしょう。
ファイナンシャルプランナーや税理士への相談もおすすめです。現在の財務状況を分析し、今後の資金計画や税金対策について助言してくれます。
不動産鑑定士に依頼すれば、物件の適正価格を客観的に評価してもらえます。購入価格と実際の価値に大きな乖離がある場合は、交渉や法的措置の重要な証拠になるでしょう。
専門家への相談には費用がかかりますが、損失を抑えられるだけでなく、精神的な負担も軽減されます。
物件の収益性を改善する
状況によっては、物件の収益性改善で問題を解決できる可能性があります。
・家賃収入の最適化
家賃が相場と比較して適切かどうかを調査しましょう。低すぎる場合は適正な水準への値上げを検討します。空室が続く場合は、一時的な家賃引き下げや初期費用の減額などで入居率を高めましょう。
・ターゲット見直し
一般の賃貸からウィークリーマンションやマンスリーマンションへの転換など、ニッチな需要を狙うことによって競争力を高められることがあります。
・経費削減
管理会社や管理委託内容の見直しは管理費削減につながります。火災保険や地震保険も再考してみましょう。
・ローンの借り換え
ローンの借り換えも効果的な改善策です。金利情勢が変化している場合や、当初の契約条件が不利だった場合は、新たな金融機関へのローン借り換えで毎月の返済額を減らせます。
・物件価値の向上
費用対効果の高いリノベーションは家賃アップや空室期間の短縮が期待できます。
・キッチンやバスルームの設備更新
・フローリングやクロスの張り替え
・省エネ設備の導入
など
入居者のニーズ調査を行い、ターゲットとなる層が求める設備と機能を優先的に導入するのがポイントです。
このような改善策はすぐに効果が出るものではありませんが、地道な努力の積み重ねにより徐々に収益性が高まります。
売却を検討する
物件の売却も真剣に検討する価値があります。不動産は「塩漬け」にすればするほど状況が悪化するケースが多いため、「損切り」の決断が長期的には賢明なことも少なくありません。
売却を検討する際には、現在の物件価値を正確に把握する必要があります。売却価格の目安は不動産査定サイトの活用がおすすめです。売却に関する諸費用も計算し、手元に残る実質的な金額も把握しましょう。
ただし、ローン残債が売却価格を上回る場合は売却が困難になる恐れがあります。債務を完済できないときは、金融機関と交渉して任意売却の可能性も検討しましょう。
任意売却であれば競売を避けられるため、物件の価格下落を防げる可能性が高まります。
不動産投資の悪徳業者を見分けるポイント

不動産投資の悪徳業者を見分ける主なポイントは下記の4つです。
・行政処分歴がないか
・おとり広告はないか
・投資のリスクを公開しているか
・購入を急かしてこないか
それぞれ詳しく解説します。
行政処分歴がないか
国土交通省の「ネガティブ情報検索システム<宅地建物取引業者>」を使えば、行政処分情報を簡単に調べられます。行政処分歴があれば悪質と断言できるわけではありませんが、業者を選ぶ際の参考にはなるでしょう。
免許番号の確認も大切です。不動産取引を行うためには宅地建物取引業の免許が必要で、免許番号が「(〇)第○○○○○号」という形式で表示されています。カッコ内の数字は免許の更新回数を示しており、数字が大きいほど長期間営業していることを意味します。新しく設立された会社であれば「(1)」です。
長く営業している会社が信頼できるとは限りませんが、業界での実績や経験を判断する目安になります。業者のウェブサイトやパンフレットに免許番号が明記されていない場合は悪質業者と考えて間違いないでしょう。
おとり広告はないか
おとり広告は、実際には存在しない物件や売却済みの物件などを広告に掲載する手法です。
魅力的な条件の物件情報で投資家の関心を引き、実際に問い合わせると「すでに売約済みです」と言われて代わりに条件の悪い物件を紹介されます。
おとり広告を見分けるポイントはいくつかあります。
・周辺相場と比較して明らかに条件が良すぎる
・同じエリアの類似物件と比べて価格が著しく安い
・利回りが極端に高い物件
・物件の詳細情報が不足している
・長期間にわたって掲載され続けている
など
最初の接点で虚偽の情報を提供する業者は、その後の取引でも信頼できません。
不動産投資は多額の資金を必要とする重要な決断です。広告内容に疑問を感じたら、複数の業者に同じエリアの物件情報を問い合わせて比較検討しましょう。
投資のリスクを公開しているか
不動産投資には必ずリスクが伴います。
・空室リスク
・家賃下落リスク
・金利上昇リスク
・予期せぬ修繕費用の発生
・災害リスク
など
良心的な業者であれば、このようなリスク要因を事前に説明してくれます。対策についても助言してくれるでしょう。悪徳業者は投資のメリットばかりを強調し、リスクは触れないか軽く扱う傾向があります。
断言的表現や極端に楽観的な収支予測を示す業者にも注意が必要です。
絶対に儲かる
リスクはない
必ず満室になる
不動産投資に絶対はありません。将来の経済状況や不動産市場の変動を100%正確に予測するのは不可能です。
物件資料の中で空室率や修繕費用などのネガティブ要素にも注目しましょう。収支シミュレーションで空室率をゼロと仮定していたり、修繕費用を極端に低く見積もっていたりする場合は、収益性を高く見せている可能性があります。
購入を急かしてこないか
十分な検討時間を与えず契約を迫る業者は悪質と考えて間違いないでしょう。
今日中に決めないと他の人に売ってしまう
今週末までの特別価格
あと1室だけ
このような時間的プレッシャーは、冷静な判断を妨げる典型的な販売テクニックです。
不動産投資は数千万円、場合によっては億単位の資金を投じます。それを数時間や数日で決めるのはリスクが高い行為です。
サラリーマンが不動産投資で成功する方法

サラリーマンが不動産投資で成功するためにも、下記をしっかりと意識しましょう。
・不動投資の知識を習得する
・不動投資の目的を明確にする
・複数の業者を比較する
・少額から始める
それぞれ詳しく解説します。
不動投資の知識を習得する
不動産投資の基本的な用語や概念、収益構造などを確実に理解しましょう。サラリーマンに適した学習リソースとしては下記が考えられます。
・書籍
・セミナー
・オンライン講座
いずれも中立的な立場から情報を提供している媒体の選択が必要です。特に販売目的のセミナーには注意しましょう。
不動産投資は1度始めると簡単には撤退できないため、開始前の知識習得は必要不可欠です。
ここでは、最低限知っておきたい「表面利回り」と「実質利回り」の違いについて解説します。
表面利回りとは
表面利回りは不動産投資における収益性の指標です。物件の年間家賃収入を物件購入価格で割った数値で、投資の効率性を示します。
たとえば、2,000万円の物件から年間150万円の家賃収入が見込める場合、表面利回りは7.5%(150万円÷2,000万円×100)です。
ただし、表面利回りには注意点があります。
・空室の可能性を考慮していない
常に満室という理想的な状況を前提としています。
・経費を考慮していない
維持管理費や修繕費、固定資産税などの経費が考慮されていません。
・市場相場より高い家賃を設定している可能性
表面利回りを高く見せるために、市場相場より高めの家賃設定で計算されていることがあります。
表面利回りだけで物件の収益性を判断するのは危険です。周辺同等物件の調査をして現実的な数値かどうかを確認する必要があります。
実質利回りとは
実質利回りとは、年間の実質的な純収益を物件購入価格で割って算出される数値です。実質利回りを計算する際には、家賃収入から以下のような経費を差し引く必要があります。
・空室損失:年間家賃収入の5~10%程度
・修繕積立金:年間家賃収入の5~15%程度
・各種税金
・ローンを組んでいる場合は金利
表面利回り7.5%の物件であっても、実質利回りが3~4%程度になるケースは珍しくありません。実質利回りの計算は少々複雑ですが、正確に把握すれば現実的な収益予測が可能となります。
物件購入を検討する際は業者から提示される表面利回りだけでなく、実質利回りも計算して本当に投資に値するかどうかを判断しましょう。
人生設計を考慮する
人生設計における不動産投資の位置づけも考慮しましょう。
不動産投資は長期的な取り組みとなるため、ライフプランとの整合性が重要です。たとえば、数年後に転勤の可能性があるなら遠隔地での物件管理をどうするかといった問題が生じます。
リスクを許容度も理解しておきましょう。安定した収入を重視する場合は、家賃変動の少ない住宅地の物件が適しています。高利回りを求めるなら高いリスクは避けられません。

投資の時間軸も明確にしましょう。短期的な収益を求めるのか、それとも長期的な資産形成を目指すのかによって物件選びの基準は変わります。
複数の不動投資業者を比較する
同じエリア・同じタイプの物件であっても、業者によって提案内容やサービス内容は大きく異なります。1社だけの提案を鵜呑みにすると、本当に良い条件を逃してしまう可能性があるので注意が必要です。
比較する際のポイントはいくつかあります。
〇実績と信頼性
・設立年数と実績
・過去の成功事例
・顧客からの評判とレビュー
〇提案物件の質と条件
・物件の立地条件と将来性
・想定利回りの現実性
・市場相場との比較
・空室リスクの対応策
〇手数料と費用体系
・仲介手数料の透明性
・隠れコストの有無
・管理費や修繕積立金の設定
・契約時の諸費用
〇情報開示の姿勢
・デメリットも含めた誠実な説明
・質問対応の丁寧さ
・資料の充実度とわかりやすさ
・強引な営業手法の有無
〇サポート体制
・アフターフォローの内容
・トラブル発生時の対応力
・管理サービスの内容
・税務や相続など総合的なアドバイス
複数業者の比較は時間と労力を要しますが、不動産市場に関する理解も深まり、判断力も向上します。焦らずに比較と検討をして後悔のない投資につなげましょう。
少額から始める
サラリーマン投資家の場合、いきなり大きなリスクを取るよりも小規模な投資から経験を積むことをおすすめします。少額投資であれば失敗した際のダメージも限定的です。
投資は常にリスクを伴いますが、少額であれば万が一の場合でも生活に大きな影響を与えません。実践を通じて投資を学べるのも大きなメリットです。
不動産クラウドファンディングやREIT(不動産投資信託)を活用するのも、ひとつの方法でしょう。これらは数万円から不動産投資に参加できます。運用は完全に委託できるので手間がかかりません。
中古の区分所有マンションも新築に比べて価格が抑えられ、少額投資の選択肢となります。ただし、築年数による修繕リスクには注意が必要です。
投資用の中古一戸建てを購入する方法もありますが、管理の手間がかかります。ある程度の知識と経験を積んでからの方が良いでしょう。
まとめ
サラリーマンが不動産投資を始める際には、カモにされないように十分な知識と計画の立案が欠かせません。
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不動産クラウドファンディングに付いて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。